注意力を軸にしたデザイン

モデルはますます賢く、速くなっています。いま限界となるのは私たち自身、つまり1日に判断できる回数です。Hey Atuのすべては、そこから始まっています。

ボトルネックは人へ

ここ数年、問われていたのは「モデルにできるか」でした。だから私たちはプロンプトを磨き、ワークフローを長くし、ツールを増やしてきました。モデルが弱点だったからです。

日常の仕事の多くでは、もうそうではありません。優れたモデルに小さな実行基盤を添えるだけで、調べもの、文章作成、コードの修正、価格のチェック、請求書の整理までできます。しかも、私がその作業内容を読み終えるより速くこなします。

こうして、ボトルネックは人に移りました。私の頭は一つのまま、1日の時間も変わりません。エージェントが仕事を終えるたびに、最後には私の出番が待っています。選ぶ、承認する、「送っていいよ」と伝える。あるいは、終わったことを知るだけの場合もあります。その一つひとつの判断に、注意力を使っているのです。

これまで

限界を決めるのはモデルでした。

実行基盤を強化し、スキルを増やす。
今

限界を決めるのは人です。

一つひとつの判断に使う注意力を減らす。
Hey Atuが目指すのは、エージェントを強くすることではありません。あなたの限られた注意力で、もっと多くのことをできるようにすることです。

この一つの考えが、製品全体の土台になっています。Hey Atuは、主にコードを書くためのツールでも、単なるスマホのチャットアプリでもありません。より少ない注意力で、仕事や暮らしのもっと多くのことに取り組むための手段です。

注意を向ける4つの段階

この設計は、私自身が10年以上の仕事を通じて身につけた習慣から生まれました。学生にも役立つと思います。急ぎのこともあれば、そうでないことのほうが多い。そんな複数の物事を同時に抱えている人のための設計です。

すべてのことに、同時に注意を向ける必要はありません。今すぐ対応が必要なこと。今日中に対応すればよく、今この瞬間でなくてもいいこと。終わったときに一目見るだけでいいこと。そして、じっくり考える時間があるときに向き合えばいいこともあります。

Hey Atuには4つのタブがあり、それぞれがこの4つの段階に対応しています。

  1. 1チャット今。話す、決める、フィードバックする。
  2. 2ToDo今ではなく、少しあとで。あとで対応すること。
  3. 3アップデートエージェントの作業が終わったら。結果を確認します。
  4. 4Wiki時間があるときに。自分の考えを整理します。
今すぐ確認が必要時間があるときに確認
ルールは一つ。どんな情報も、適切に扱える範囲で最も低い階層に置きます。一つ上がるごとに、より多くの注意力を使うからです。

レベル1チャット:今、注意を向ける場所

最初に必要なのは会話です。あなたとエージェントが一緒に考える場所。あなたが尋ね、エージェントが動き、あなたが判断し、軌道修正します。リアルタイムでやり取りするため、最も注意力を使います。

だから、チャットに置く情報は最小限にします。ここに置くのは、今すぐ返事が必要なメッセージだけ。それ以外は、一つ下の階層へ。エージェントが報告するときは、まず結論を示し、そのそばに選択肢を添えます。そうすれば、何かの合間にスマホから一言で判断を伝えられます。

Hey Atuのチャットタブ。今日対応が必要なことを尋ねると、Atuが3件を挙げ、そのうち1件はすでにToDoに追加したと伝えます。
チャット:まず結論から。今日あなたの対応が必要なのは3件。そのうち1件は、AtuがすでにToDoに追加しています。(サンプル内容)

レベル2ToDo:あなたとエージェントで共有

これは少し変わった仕組みで、私が一番気に入っているものです。

2025年、Claude Codeによって、エージェント自身のToDoリストが広まりました。エージェントが計画を立て、一つずつ完了にしながら、長いタスクでも道筋を見失わずに進める。エージェントのための仕組みでした。2026年になり、モデルの性能が上がると、その役割は小さくなっていきました。Claude Codeも、最新モデルではこれらのToDoツールをデフォルトで無効にしました。モデルはもう、自力で最後までタスクを追えるのです。

でも、人はまだ見失います。私の頭の中は、ふと思いついたことやフォローアップ、「あれを確認しなきゃ」でいっぱいです。書き留めるまで、その一つひとつが注意力を少しずつ占めています。

何年も前に、デビッド・アレンのGetting Things Doneを読みました。その中心にある教えは、今も私の中に残っています。頭の中にあることをすべて外に出し、目に見える、信頼できる場所に置く。頭はアイデアを生み出すためのもので、ためておくためのものではない、ということです。

2025 · エージェントのToDo

エージェントが1つのタスクを計画し、項目を順に完了していきます。タスクが終われば、リストの役目も終わります。

Hey Atu · あなたのToDo Hey AtuのToDoタブ。「Atuが追加」と表示された項目もあれば、自分で追加した項目もあります。
Claude Codeで広まったエージェントのToDoは、モデルが自分のために書くものです。Hey AtuのToDoは、日をまたいで残る、あなたのためのリストです。あなたもAtuも項目を追加でき、「Atuが追加」という表示で誰が追加したかがわかります。

だからHey AtuのToDoは、あなたとエージェントで共有する1つのリストです。

  • 同じリストで、同じ操作。あなたはスマホで項目を追加、移動、完了します。エージェントもコマンドラインから同じ操作を行います。変更はすべて、誰が行ったかが記録され、取り消すこともできます。
  • チャットから生まれるToDo。どのチャットでも「金曜日にSamへのフォローアップをリマインドして」と伝えれば、リストに追加されます。ToDoからチャットを開くこともできるので、書き留めた場所からそのまま作業を始められます。
  • エージェントが実際の進み具合を反映。今、次のステップを開発しています。Atuが終了したチャットを読み、終わった作業を「完了」に移します。あなたの対応を待って止まっているチャットは、必要な対応を1行で示すToDoになります。

これで、やり残したことを覚えておく必要はなくなります。1つのリストを見るだけで、何が残っているかわかります。

レベル3アップデート:集中を妨げずに届く結果

アップデートは、ほかのツールでいうスケジュールタスクに近い機能です。「毎朝この価格を確認して」「ビルドが終わったら教えて」「6時に受信トレイを要約して」。あなたが離れている間も、エージェントが作業を進めます。

大切なのは、結果の届け方です。その多くは、新しい動きがなかった監視結果や、同期の成功、あとで読むレポートなど、日常的なものです。わざわざチャットにする必要も、今取り組んでいることを中断させる必要もありません。

Hey Atuのアップデートタブ。朝のブリーフィング、価格チェック、受信トレイの要約など、定期タスクの結果がカードで並びます。
アップデート:定期タスクごとにカードが届きます。返信は必要ありません。(サンプル)

そこで、結果はアップデートにシンプルなフィードとして届くようにしました。読むのは都合のいいときで構いません。判断が必要な結果だけが、次の段階に進みます。タップしてチャットを始めたり、ToDoにしたり。「1,300を下回ったときだけ知らせて」のように、通知の条件も自分で決められます。

レベル4Wiki:学びを蓄える記憶の宮殿

最後のレベルは知識です。最も急がないものですが、長い目で見れば、最も大切かもしれません。

私たちは日々学んでいます。記事や本から、そして最近はエージェントとの会話からも。チャットで得た優れた回答は、確かな知識です。でも、チャットが流れていくと、その知識も一緒に消えてしまいます。

知識は、振り返ってこそ自分のものになります。単語カードで勉強したことがあれば、忘却曲線はおなじみでしょう。少しずつ間隔を空けて復習すると、記憶に残ります。復習しなければ、その大半は数日で薄れてしまいます。

01371630 日数 記憶の保持率
少しずつ、繰り返し復習一度だけ読む
忘却曲線(イメージ)。復習するたびに記憶がよみがえり、その後は忘れにくくなります。

Wikiは、Andrej KarpathyのLLM Wikiという考え方を参考にしています。エージェントがシンプルなMarkdownページを管理し、毎回探し直す代わりに、知識を積み重ねていく仕組みです。Hey Atuでは、次のように使います。

  • 追加するだけ。チャット、リンク、ファイル、メモ、Mac上のフォルダ。整理もタグ付けも必要ありません。
  • ページを書くのはAtu。各ページは、長く使えるひとつのテーマにまとまります。新しい資料が加わるたびに内容が充実し、ページ同士もリンクでつながります。
  • 眠っている間に育ちます。Atuは毎晩、その日の新しい知識を追加します。毎週、ページをまとめたり、分けたり、リンクを加えたりして、構成を整えます。
  • 知識を、もう一度目の前に。Wikiには昨夜や今週追加された内容が表示されます。読み返さずに終わるのではなく、少しずつ、こまめに振り返れます。
1 · 元の資料
チャットリンクファイルメモMac上のフォルダ
Atuは読み取るだけで、変更はしません。
取り込み · 毎晩
2 · Wiki
# Japan trip

## Overview
Two weeks in April. Kyoto first, then Osaka.

## My view
“Fewer cities, longer stays.”

See [[Kyoto in April]] · [[Rail pass or not]]
リンクでつながる、シンプルなMarkdownのページ。Atuが書いて、あなたが読みます。
整理 · 毎週
3 · ルール
AGENTS.md
- One page is one lasting subject.
- “My view” keeps only my own words.
Atuが書くときのルールです。あなたがページを修正すると、Atuはそのルールをここに追加します。
Karpathy の3つのレイヤーを、Hey Atu ではこう使っています。「ingest」は毎晩の同期、「lint」は毎週の整理(統合、分割、リンクの追加)、「query」は「Wiki に質問」です。

私はこれを「記憶の宮殿」と考えています。タグは本、グループは章、ページは本文です。知識に、歩いて回れるような形が生まれます。自分が何を知っているかを見渡せて、また見つけ出せます。しかも、すべて自分のパソコン上にある普通のファイルです。

Hey Atu の Wiki タブ。昨夜と今週追加されたページ数と、「自宅のリフォーム」「日本旅行」「読書ノート」などのタグが並びます。
Wiki のホームには、Atu が昨夜と今週追加した内容、その下にタグが並びます。タグは本のように開きます。(サンプルの内容です)

Wiki は判断を求めません。読まなければ、というプレッシャーもありません。時間ができるまで、ただ待っています。

内容はレベル間を移動する

4つのレベルは、それぞれ孤立しているわけではありません。内容は行き来し、エージェントが代わりに移動させることもできます。

アップデートに判断が必要→チャットまたは ToDo
チャットはあとで→ToDo
チャットで結論が出る→Wiki
どの内容も、あなたの関与が必要なレベルへ。それ以上には上がりません。

新しい機能を考えるたび、私は一つの問いで確かめます。モデルが2倍賢くなっても、これは役に立つだろうか?凝ったエージェントのワークフローは、この基準を満たさないことがよくあります。次のモデルでは不要になるからです。一方、人の注意力を節約することは、この基準を満たします。エージェントが賢くなるほど、こなす仕事も増えます。だからこそ、その成果をどう届けるかが、ますます大切になります。

そのために、Hey Atu はあります。

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